有名ですよね、バーキン。70代後半の、最寄り駅が無人駅の過疎地に住む私のお父さんも知ってます。
でも、このバッグの何が凄いのか?とかは知っている人はほとんどいない様です。
けっこう…、所有している方々も含めて…。
今回もまた、私見&独学丸出しでお送りしたいと思います。
バーキンは良いバッグ。(クロア金具編)
見出しの文面、皆さんご存知ですよね。エルメス社製のバーキン。
良いバッグですよね~!
人気もあるし。高いし!
なんせ、エルメスの!バーキンですからね!
高いですからね!
100万とか200万とかしますからね!
いや~、本っ当に良いバッグです。
…。
でも、どこが?何が?”良い”ですかね。
と、具体的にと問われると、まあデザイン?とか、革が上質?とか、そうゆうの以外あんまり出てこない方もいらっしゃると思います。
というわけで今回も勝手に語らせて頂きます。
私の思う、バーキンをはじめとしたエルメス製品の素晴らしさです。
そもそも”良いバッグ”の定義っても難しいですよね。
難しいというか、そもそもその”良い”の基準は人それぞれですし、単に価格が高いとか安いとかでは言える事ではありませんし。
ましてや、デザインとなるとそれこそ好みで別れる所になると思います。
ですので、なんとなくではなく、ハッキリとした事実としての”良いバッグ”の根拠をここでは書かせていただきます。
まずはバーキンなどにある、代表的な部分。クロア金具です。
ここの造りを初めて知ったときは、衝撃的でした。
この小さな金具部分でもいくつか語りたい箇所がありますので、一つ一ついきます。
1つ目、”HERMES”のブランドロゴの刻印部分です。
ここ、ルーペで見るとボールを転がしてついた跡のような、変な言い方すると虫が這った様な跡が見られる物が多くあります(例外あり♡)。
これにより、大量生産やリーズナブルな商品で多く採用されている手法のレーザー刻印ではなく、ニードル彫りなどの手作業であろうと推測できます。
レーザー刻印とは、機械を用いてレーザーを当てて手っ取り早く金属部分に刻印できる大量生産に向いた手法です。
ニードル彫りなどは、職人が一つ一つ手作業で掘り進めていく、非常にコストのかかる、卓越した技術がなければ出来ない技法です。
職業柄、いわゆる偽物と思われるコピー品・基準外品を目にすることがあるのですがここがクリアされていない物をよく見かけます。
遠目で見るとわからない事ですが、バッタもんと並べてみるとルーペを通さずとも本物のこの部分は高級感が感じられます。
深く、しっかりと、輪郭も際立っているので当たり前と言えば当たり前なのですが。
手間がかかっている分、ちゃんと良い効果がでるのは不思議と言えば不思議です。
そして、極めつけの私が衝撃を受けた部分ですが、もう少し他の部分を見てからお伝えしたいと思います。
エルメスの凄さ①糸 偽物の判別方法にも?
前章の様な一流ブランドの商品に触れ、細部の造りのこだわりや、手間のかかっている部分を見てよく思う事があります。
なんか、全部同じだなぁっと。
人間関係や、仕事、植物も、ゲームだってそうですよね。
長い年月かけて、良い事も悪い事も、色々あって。
振り返ると、もう二度繰り返したくないと心から思うほどの面倒なことや遠回りを繰り返して、人は成長して、大切な人間関係を築いたり、
とてもじゃないけれど、始めは本当にできるのだろうかと不安でいっぱいで、何度も壁にぶつかって、もうやめてしまいたい、逃げ出したい、でもそれでもなんだかんだやり続けて、気が付くとあの無理だと思っていた仕事も、大きな成果がだせるようになっていたり。
手間と完成度は比例している事が多いですよね。
一流ブランドの仕事はまさに、その事を表していると思います。
神は細部に宿る、と言いますが本当にその通りですね。
大技なんて無くって、小技の連続が良い結果を生み出すのかなぁ…と感じます。
このように勝手な解釈をして、時に私はブランド品を眺めながら人知れず感動しています(笑)。
さて、本題に戻ります。
前章で申し上げましたクロア金具、採用されている代表的なモデルは、バーキン、ケリー、オータクロアなどですが。
この3つのバッグに共通している要チェックポイントの一つとして、縫製方法があります。
バーキンにしても基本はミシン縫いなのですが、バッグの背面を見て頂きましょう。
この、革と革が厚く重なり合う部分、
・持ち手の付け根
・クロアベルトの付け根
・かぶせ蓋の付け根(ケリー以外)
ここは強度を保つためと思われますが、手縫いをされています。
このミシン縫いか手縫いかは判別方法がありまして、
ミシン縫いの場合は水平に見た時に、糸の縫い目が右上がりになっています。
対して手縫いの部分は、水平に見た時に右下がりになるのです。
これは、最近では結構有名な話なのでご存じの方も多いとは思いますが、知らない人に話すとけっこうドヤれます。
近年では、もうバレバレなのであまり見かけませんが、10年ほど前はここを見て本物かどうかを判断できる物が多かったです。
もしまだご存じない方には、これけっこう「へぇ~」となると思うので是非見てみてください。
そして実は、この縫製に関わる「糸」にもちょっとしたお話がございますので次の章にてご紹介いたします。
エルメスの凄さ②糸 続編
前章ではミシン縫い・手縫いなどの縫製について触れました。
実は、この糸自体にもエルメスのこだわりがあります。
すぐれた技術力に溢れた現代社会においては、安価でも高品質なものがたくさんありますよね。
糸も例外に漏れずそうで、丈夫で安い化学繊維糸が大人気です。
殆どの一流と言われているブランドもこの糸を採用しています。
しかし、エルメスのバーキンなどに使われている糸は化学繊維の物ではないのです。(例外商品もあります。)
麻糸であるリネン糸を、古くより使い続けているのですね。
天然の素材を採用し続ける、歴史・ルーツを大切にしているのを感じて、さすがエルメスといったところです。
そしてこの糸も、実は判別方法があります。
ルーペなどで見るとわかりやすいのですが、化学繊維の糸はキュルキュルっとした光沢があり、表面はきれいです。
対して、リネン糸はキュルキュルっとまとまった感じはなく、毛羽立っています。
これも、ついつい誰かに話したくなるドヤポイントだと思います。
バーキン、ケリーのオーナー様、身近にバーキン、ケリーなどエルメス製品お持ちの方がいらっしゃる方は是非ともルーペなどで見てみてください。
毛羽立ってます。
そして、勘の良い方はお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、ここからエルメスの凄さに繋がります。
以前、有識者の方に聞いたのですが、確かに感心したのをよく覚えています。
前章でも申し上げました通り、バーキン・ケリー・オータクロアなどはミシン縫い部分とと手縫い部分があるのですが、
普通は、ミシンで縫うときは化学繊維糸で縫いますよね。
ところが、この麻糸をミシン縫いでやっちゃう所がエルメスの凄い技術力だと、強く説明されました。
通常、毛羽立っているこの糸を使いミシン縫いする事はかなりの技術がないと出来ない素晴らしい仕事との事です。
だからなんだよ、と思われる方も少なからずいらっしゃるとは思いますが、これ…。
この糸を使ってまでコピー品は作られていないのが現状でして、どんなに頑張って精巧に再現されたコピー品でも、やはり遠目で並べてみると違和感を感じます。
恐らく、革に対しての食い込み方と、革より前に出ない、ギラギラ感を出さないことにより、バッグ全体の”締まり”を決めているのだと解釈できます。
クロア金具 ”鋲” 編
冒頭の方で一度クロア金具に触れましたが、勿体ぶってまだお伝えしなかった部分。
それはエルメスの上質な革を金具で挟み込みがっちり止めている”鋲”です。
”衝撃的”と表現したのは実はこの鋲の事でして…。
これ、バーキン・ケリー・オータクロアなど(他にも色々)に両サイドからのベルトに採用されているのですが。
本当に凄いんですよね。
色んなブランドがありますが、バッグにおいて、こんな感じの、こだわりとしか思えない意匠は見たことが無いです。
「ここ?こだわるか?」と思ってしまうかもしれません。
これ、まあベルト革を挟んで鋲で留めている訳ですが。
どうなっているかと言いますと…。
裏側からまず釘状の鋲をぶっ刺しまして、それを表から叩いて形成して仕上げているのです。
一つ一つ手作業でです。
機械とかで、パチン!とかやればいいのに、いちいち手作業で仕上げてます。
ほいでもって、ここ、悪い言い方すると”いびつ”です(笑)
何か…、鋲の周りぐじゅぐじゅっ、てなってます。
基本的に、高級なブランド品と低コストがテーマの偽物とを見分けるなら、”キレイ”か”汚ったねー”かで判断しますので、何にも知らないでここだけ見ると、
「これ、パチモンじゃね?!」
となるような造りです。
そう、この鋲が本当に凄いなぁ、と感動した部分です。
だって、いちいち手作業でやってるから(多分だけど)、ここ、それぞれのバッグによってよく見たら形状が違うわけなんですよ。
いや、バッグによってどころか一つのクロア金具だけを見ても(一つの金具につき4か所あるわけだが)、4つ全ての鋲がそれぞれの”顔”をしています。
現代において、様々な高度な機械・工業技術が発達しているご時世に、こんな事をやり続けているなんて…。
これを、”こだわり”と言わずして何と言うのでしょう。
そして、本当に不思議なもので。あのバーキン・ケリーのいつまで経っても古臭さを感じさせないパッと見のデザインに、このクロア金具・鋲がクラシカルな部分をしっかりと抑えて全体のバランスを整えているのが、”意識”して見るとすっごくわかります。
ココを見て、
「時代がいくら移り変わろうとも、私たちには譲れない基本があるのです。」
って、言ってるように感じて(勝手にね)、ふぁ~(*´ω`)…、てなります。
超一流の意地を、感じるんです。
お気づきの方もいらっしゃるとは思いますが、当然この意匠は偽造防止にも役立っています。
エルメス社が意図しているかどうかはわかりませんがね(^_^.)
まとめ
今回も、私見&独学(というかもはや妄想も入ってます)にてお届けさせて頂きまして、失礼致しました。
でも、今回語らせて頂いた事を踏まえて、どうでしょう?
”良いバッグ”なんだな、と。
エルメスって、バーキン、ケリーって、
良いバッグなんだな!って、ハッキリと理解できるのではないでしょうか。
もちろん、今回あげさせて頂いた以外にも様々なこだわりがありますし。
その一つ一つが、不動なる人気を保持している所以なのでしょうね。
冒頭のくだりに戻りますが、”良いバッグ”の定義。
これに関して、こと”ブランドバッグ”という括り付けでの解釈とさせて頂きますと、
・普遍的なデザイン
・真似が出来ない細部の造形(確かな技術力)
・時代が変わっても譲れぬ基本理念がある
てな所ではないでしょうか。
どうでしょう。我々の人生、ビジネスにおいても共通しますよね。
今まさにダイバーシティ、個人個人が自由な選択をし、表現をする時代です。
本当に素晴らしい時代だと思いますが、どんな時代になろうとも、どんな最新鋭のビジネスモデルでも、
人との関わり合いは避けられないし、求めあっていくのだと思います。
バッグの王様、バーキンの魅力を探る事により、来る新時代に向けての心構えも出来た気がしました。
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